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担任の高嶋先生が、教室に入ってきて、朝のホームルームの時間が始まる。
いつもと変わらない日常が、そこにはあるはずなのに、今朝の一件で、私の頭の中はかき乱されている。気づくと、さっきの彼のことを考えていた。
ーー彼は、なんのために、私に勉強を教えてほしいと頼んだだろう?
ーーそもそも、なんで、私に?
ーーもともと、彼は、私のことを知っていた?
ーー知っているとしたら、なんで?
私の彼に対する疑問は、とどまることを知らない。考えれば考えるほど、分からないことだらけだ。
「それでは、ホームルーム終わり。時間になったら、試験始めるぞー!」
高嶋先生の声が、ようやく、私の脳内に届いたのは、ホームルーム終了を知らせる声だった。
ーーダメだ、ダメだ。あの彼のことを考えすぎだ!
ーー今は、試験に集中!
ーー私は、なんのために今まで頑張ってきたんだ。
ーー今日は、頑張って早起きまでしたじゃないか!
ーー人は人、自分は自分。
ーー自分のやるべきとをまずやる!
私は、自分で自分を必死に鼓舞し、私の頭の中で埋め尽くされた彼を、一旦、頭のすみっこへと追いやり、試験へと臨んだ。
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