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卒業式
卒業式の前日の私は、ワクワクした期待と押しつぶされそうな不安が入り混じった感情に支配されて、全然寝つけなかった。
あの日と同じ時間の四時に、目覚まし時計のアラームは鳴った。アラームが鳴る前から、起きていた私は、すぐに飛び起きて、制服へと着替えて、学校へ行く準備をした。
いつもより、時間をかけて、念入りにメイクもして、私は、待ちに待った今日という日が来たことに、ニヤニヤが止まらなかった。
あの日と同じように、家族を起こさないように、静かに、そっと家を出る。
家を出ると、空はあの日の空よりも暗く、ほぼまだ夜のような暗さだった。ただ、あの日感じた爽やかな風は同じ気がした。
私は、まるで自転車ごとスキップができるんじゃないかと思うくらい軽い足取りで、自転車を漕ぎ始めた。
学校に着き、自転車を置いて、暗闇の中、校舎へと入り、一目散に屋上へと向かった。
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