はじまりの日

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 家を出ると、空は薄暗く、街灯の光がありがたいくらい、まだ暗かった。おそらく、あともう少しで日の出の時間だ。  思い返してみると、私は、こんな朝早い時間に、一人で出歩いたことがあっただろうか。  月や星の光を見ていたくなる深夜の漆黒の暗さの夜中とは違う、どこか爽やかな風を感じる薄暗さに、なぜだか、私は高揚感を覚えた。  夜明け前に、一人で、出かけるのも初めてであり、そんな時間に学校に行くのも初めてだ。  期末試験の勉強ためとは言え、私にとっては、少し冒険のような、何か新しいことを始める時のドキドキやワクワクを感じていた。  私は、軽い足取りで、自転車を漕ぎ始めた。  ーー私、なんか、今、ちょっと、高校生っぽいことしてる?  ーー今まで、いかに普通に、真面目に、高校生活を送るかしか考えてなかったのに。  ーーいやいや、これは、たまたまだ。  ーー試験勉強のために、致し方なく、早朝に登校しているのだ。  いつもと違う時間なだけなのに、学校までの風景も違って見える。風が透き通っているように感じる。においも爽やかな、何も混じり気のない澄んだにおいがする。  なぜか、ワクワクが止まらない私は、必死に、試験のためと自問自答しながら、目いっぱい力を込めて、自転車を漕ぎ進めた。    
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