はじまりの日

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「はぁ……はぁ……はぁ……」  私が、なんとか自分のクラスの教室に滑り込み、扉を閉めた時には、ドクドクと動悸がして、呼吸が乱れるほどだった。  ーーやっぱり、誰かいる……  ーーどうしよう………  ーー誰?  激しい動悸が止まらない。とりあえず、自分の席に座って、落ち着こうと思い、席に着いた。  後ろの教室の扉を見つめてみるが、誰も入ってくる気配はない。さっきまで、後ろから追いかけられているような感覚があったのだが、今は人の気配さえ感じない。物音一つしない静けさがそこにはあった。  ーー勘違いだったのかな……  私は、まだ恐怖を感じつつも、自分の机の中に手を入れてみた。もし、仮に誰かいたとしてと、数学のメモさえ見つかれば、私が今ここにいる理由は説明できる。 「え、ない!」  私は、驚きのあまり、独り言が声に出てしまった。  てっきり、自分の机の中に忘れてきたのだと思っていたのに、そこには何もなかった。自分の机の中にないということは、移動教室だった物理教室に忘れたのかもしれないと思い、私は、物理教室へ行ってみることにした。  少しだけ扉を開き、ソッと廊下を覗いてみる。案の定、誰もいない。私は、静かに扉を開き、廊下に出て、物理教室へと向かった。  あれほど、誰かに追われているような感覚が、さっきはあったのに、今は、人っ子一人誰も学校にはいない静かな時間が流れている。  早朝の学校に来たという非日常で、私が、ちょっと勘違いしたのかなと思うほどだった。  
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