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きっかけは忘れ物
私が、高校に忘れ物をしたことに気づいたのは、深夜2時を過ぎたころだった。
「ない! ない! どうしよう、学校に忘れたかも……」
自分の部屋で、1人で絶望的に呟いた。
明日の数学の試験には、絶対にあのメモが必要なのだ。私の血と涙の結晶とも言える、あの大事な大事な要点メモ。
よりによって、試験前日に、学校に忘れて帰るとは……。
ここまで、その要点メモに拘るのには、理由がある。
数学の藤原先生の授業は、とても分かりやすい。内容がよく理解できるという分かりやすさもあるが、何より、大事な重要なポイントや公式が、これでもかと言うくらい強調されるので、どこが重要なのかがわかりやすいのだ。そして、おのずとそこが試験に出るのだ。
このカラクリと言うべきか、藤原先生の授業の攻略法に気づいてから、私の数学の試験の点数は、爆上がりした。
同時に、どの教科の先生も少なからず、大事なポイントを幾度となく伝えてくれていたり、小テストや質疑応答で触れたりなど、授業を行う先生たちによってスタイルは異なるものの、重要なところは、かなり強調や何度も反芻してくれているのだ。
授業をぼーっと聞いていると、おそらくこれは気づかない。最初から最後まで、気を抜くことなく、集中して聞くことで分かるのだ。
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