親友に戻る日

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親友に戻る日

ゆっくりまた目を開くと そこには 凌太・・・ スーツ姿で 少し大人っぽい凌太・・・そして 彼女が私を心配する様に 覗き込んでいた 私は起き上がり 周りをみる 彼と彼女の部屋で ソファーに寝かされていたようだ 「菜々美!!」 泣きそうな表情で 凌太 それに寄り添う彼女 「良かった~ 救急車が必要かと思った」 彼女は安心したような笑顔 「私・・・」 頭痛の余韻でふらつく頭をおさえる 「急に会いに来て 急に倒れて 本当に菜々美は自由人だな・・・」 困り顔で笑う凌太 そこにいる凌太は 優しく穏やかで・・・昔と変わらないけど もう私の凌太ではない 私はしっかりと座り直し 彼女の方を見る 彼女はビクッとする 「急にきて 急に倒れて・・・ご迷惑おかけしました 結婚の事 母から聞いていました 幼馴染として 親友として 最近は疎遠になっていたけど どうしても お祝いが言いたくて ここに来ました あと 凌太の選んだ相手を見てみたかった・・・会えてよかった 幸せそうで」 そう言って 凌太の方を見た 凌太ははにかむ様に笑う 「ありがとう、菜々美」 そして 二人としばらく雑談して 私は帰ることにした 「おじゃましました」 靴を履いて 挨拶をすると 「凌太・・・ もうバスはないから 駅まで送って」 彼女がそう言うと 凌太は頷いた そこには 夫婦になる自信と信頼があった 凌太は駅まで 私を送るために車を出してくれた 車の中 凌太はかかっていたラジオのボリュームを下げた 「久しぶりに会った菜々美と 話がしたいからさ」 凌太は微笑む 「さっきしこたま話したじゃない」 私が言うと またニコリと笑って 「二人で話すのは 久しぶりだよ」 そんな笑顔 可愛すぎるだろ!! さっきまでの夢が覚め切れていないから 私の心はぐちゃぐちゃになる やめて・・・ 「良かったね 素敵な人と結婚決まって」 運転する凌太は新しく見えて また見つめてしまいたくなる 「うん ま、色々あったけどね」 大人びた返答 生意気だ 「幸せ・・・見せつけられて しばらくはお腹一杯」 凌太はチラリとこちらを見て 「菜々美・・・大人になったね」 「何よ・・・それ」 「いや、菜々美ってさ 子供の頃からずっと子供だったじゃん 何歳になっても 悪ガキ気質で しかも我がままお嬢でさ 振り回されたな~楽しかったけど」 「そうだっけ?」 「そうだよ ぶんぶん振り回すから つり橋効果みたいでさ 好きなのかもってさ 錯覚したりもしてさ・・・ 告白したね、俺・・・ ごめんね あの時は・・・」 なんで謝るのよ しかも 間違えたような言い方・・・ 凌太を少し睨む 「俺、幸せになるよ 彼女と・・・」 遠くを見て 今までにない強い眼差しで言う凌太が はじめて男らしく思えた そして この人を逃してしまった私自身に失望し 彼を射止めた彼女を 本当にうらやましく思った おめでとう 凌太 私・・・失恋したけど なんだかスッキリしてるよ 駅に着いた 「中まで送るよ」 そう言って駐車場んい入れようとする凌太の手を掴み 「ここでいい」 通りに寄せる様に頼む 「結婚式、呼んでね 招待状、待ってる」 そう言って 私は車から降りる 「菜々美、ありがとう」 そう言うと 彼は あの日の様にあどけない笑顔で見送った さよなら 青春 さよなら 私の恋 私は 心の中で呟いて ドアを閉めた ”バタン” とドアが閉まる音と同時に 私の中の凌太への想いが終わった もうふり返らない 私は前を向いて進んでいく そして 次に出会う人には 私らしく でも 思いやりをしっかり注いで 愛を育みたい そして 信頼しあえる 相手でありたい 凌太と彼女が 私の次の恋の目標となった 結婚式の日 私の席にはメッセージカードが置かれていた 中を見る “菜々美!これからも親友だぞ 夫婦共々宜しくお願いします” だってさ 凌太・・・心から二人の幸せをお祈りしています いつか私にハイスペックな彼氏紹介してね かなり理想高いから覚悟してよ!! 心の奥で呟き くすっと笑った さあ、そろそろ二人が入場する 笑顔で後方の扉に体を向け胸を高鳴らせた
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