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「ソウタ、まだ起きてる?」
彼女の言葉に、僕はあえて沈黙を守った。
時間は午前一時少し前くらいだろうか、僕はさっきからベッドの上でタヌキ寝入りをこいている。ある理由のために。
僕の傍らで上体を起こし、こちらの様子を窺っているの彼女は、ユイ。僕の恋人だ。互いに大学生の僕たちは、つい二ヶ月ほど前から一緒に暮らしている。いわゆる同棲というやつだ。
同じ夕食を食べて、同じベッドで眠る。ただそれだけなのに、僕にはこの上ない喜びのように思えてしまう。言葉にすると照れ臭いけれど、これはきっと愛の力なのだと思う。
「……寝てるよね? おーい」
ユイは僕が寝ていることをもう一度確かめると、そっとベッドを出た。それから何かゴソゴソと準備する音が聞こえたかと思うと、続いて玄関のドアの開閉音がした。
僕は彼女の気配がないこと確認してから、ベッドから起き上がった。
ユイは毎週水曜日の深夜、どこかに出かけていくのである。それも僕に秘密で。
僕は外着に着替えるとすぐさまユイを追いかけた。後をこっそりつけるのだ。
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