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賞金稼ぎ
繁華街を一歩出ると、雑多な街並み。大小のマンションが立ち並ぶ整然としたゴミ溜め、新宿、雑居ビル。そこが今日の狩場だ。俺たち賞金稼ぎの、な。
「いいか、ぬかるなよ」
「誰にものを言ってんだい。あたしがいつしくじった?」
毎度だ、ばかやろう。
「いいか、ドアを吹っ飛ばすだけだぞ」
「わかってるよ!そんなにくどくど言うな。あんたはあたしの舅か!」
「嫁にも行けねえやつセリフじゃねえぞ」
「ぶっ飛ばす」
レイナは真っ赤なドレスのスカートの中から爆薬の塊を出した。信管を無造作に突っ込むと、壁に貼り付け、起爆装置のスイッチを握った。
「おい、それちょっと多くねえか?」
俺は少し心配になった。
「今日はプラスチック爆薬じゃないわよ。ただの火薬。いいから下がって。ドアと一緒に吹っ飛びたくなかったらね」
「ただの火薬ったって、戦車が吹っ飛びそうな量じゃねえか?」
「ちっ、肝っ玉とあそこの小さい男はモテないわよ。こんなんで戦車が吹っ飛ぶわけないでしょ?」
たしかにそうだった。戦車は吹っ飛ばない。ビルが吹っ飛んだ。
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