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「あのね……」
言いかけて…その口をつぐんだ。
そんなこと、父さんが信じるはずがない…
母さんのあのドレスを着てた人を見たなんて言っても、見間違いだって言われるのがおちだろう。
「なんだ?」
「え……その……か、母さんはなんでドレスなんて欲しがったんだろうね?」
それはもう今までに何度も口にした質問。
だけど、父さんは一度もそれに答えたことはなかった。
「それは……一度くらい、華やかな格好をしてみたかったんじゃないか?」
「え?」
父さんが答えた言葉が意外で、私は反射的に聞き返していた。
「母さんだって、女だ…」
そう言った時の父さんは、とても苦しそうな表情をしていた。
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