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プロローグ
――ひまわりの悲しい話知ってる?
――何?急に
放課後の図書室で気だるげに話始めたのを、参考書から顔をあげることなく流した。
――好きになりすぎて、大好きな人の方ばっか見てたらひまわりになっちゃったって話
図書室にいても、本を読んでる姿を見たことがない彼から出た言葉に、違和感を感じながらもまともに取り合わなかった。
――ホラー映画かなんか?
――う~うん。悲しい恋の話。
いつもより甘えた声が聞こえて、隣で自分の腕を枕にして机に体を預けている彼の方を見ると、真っ直ぐわたしの方を見ていた。
――俺も、ひまわりになっちゃいそう……
――え……?
そう言ってわたしの心を奪った彼が、何も言わずにいなくなるなんて、この時のわたしは知るはずがなかった。
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