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「メッセージ送っても既読にならなかったり」
ぽつりぽつりと雪乃ちゃんは話す。
私は、記憶があいまいになってしまった星くんのあいまいな笑顔を思い出しながら、雪乃ちゃんの話に相づちを打つ。
洗濯機と乾燥機が回って、熱を放出してる。
雨の日の、温かな乾いた空気。
床の上のほこり。
雪乃ちゃんの首筋からすずらんの香り。
ストールを握りしめる手の白さ。
柔らかそうな頬。触れ合った肩も柔らかい。
傷ついて寂しそうな女の子は、柔らかい。
つついたら水気が溢れそう。
私は自分がちょろいのは知ってた。
肌の温もりを感じると、もっと欲しくなる。
「雪乃ちゃん、元気出して」
元気のない雪乃ちゃんが可愛くて可愛くて、気持ちと裏腹なことを言いながら、髪を撫でてあげる。
雪乃ちゃんを心ゆくまで観察する。
ゆるふわに巻いてる髪。
慣れないお仕事でちょっと疲れた目元。さみしそうな口元。
白いお肉で、こころもちゆるんだあごのライン。
私はいじわるだ。星くんが遠くにいて、喜んでる。
今日は私が、雪乃ちゃんとコインランドリーデート。
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