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せっかく洗って乾燥させたシーツを雨に濡らさないように、ビニールバッグにきっちり収納して、雪乃ちゃんが帰って行く。
私は抜け殻みたいな気持ちになって、自分の洗濯物を持って、コインランドリーを後にする。
このところ定宿にしている男の子の家に帰るけど、男の汗の匂いと蒸した部屋の匂いに耐えられない。
気分が悪くなる。
トイレにこもって、さっき雪乃ちゃんと食べたスイーツを全部吐く。
胃液臭い自分の手指に絶望して泣く。
梅雨が明けたら誕生日が来る。
丁寧な暮らしから転げ落ちたまま、私はまたひとつ、年を取る。
トイレから出て確認したら、母と父から別々に着信していた。
もうお金なんか送れないって言ってるのに、なんで分からないんだろう。
そういえば雪乃ちゃんの連絡先を知らない。
連絡先も聞けないまま、コインランドリーに通い詰める。
雪乃ちゃんの顔を見て、雪乃ちゃんが、がんばって丁寧な生活しているのを見たくて、通い詰める。
清らかな雪乃ちゃんを吸収して、自分の黒さを忘れたい。
だけど、白を、びしゃびしゃに濡らしてしまいたい。
雪乃ちゃんに会うために週末までなんとか生きる。
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