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小学6年のラブレター失敗騒動は、大宮佑のおかげもあって、騒ぎが大きくなることはなかった。
【佑のせいにしたのに、なんで、俺の恋、応援してるの?】
ラブレターを渡した放課後に、大宮佑が南にフラれたことを知った。俺が原因で関係ない佑を巻き込んだのに、あの時から俺は彼と友達になった。
ブブ・・・
伏せたスマホが振動し、佑からのメッセージを開いていく。視線でメッセージを読んでいた俺は思わず・・
はぁ?
と首を傾げていた。
【山寺さんに教室でフラれたときに言われたんだ。血が通っている人は好きになれないって】
あぁとメッセージ読んで納得したのは、あの時、南は吸血鬼キャラに恋していたから。
吸血鬼みたいな言い方になったんだな
大宮佑がビデオ電話を始めてますの表示が出て、俺は開いていた教科書やノートを端によけて、スマホスタンドを置き、緑マークをタップする。
****
画面に映る佑は肩まで伸びた髪をハーフアップにして、今期のアニメのTシャツを着ている。
彼が、懐かしそうに目を細める。
「相変わらず、ハーレムアニメ好きだよな」
『拓哉は相変わらずがり勉君?』
がり勉君。
昔から成績は常に1位で、スポーツも万能。だけど、帰宅部。
俺たちは、あはははと笑いあった後、真面目な顔になる佑。
『山寺さんに誘われたけど、僕でいいの?』
蛇みたいに細くて鋭い目が、俺の表情や仕草を読み取ろうとしている。大宮佑と山寺南はオタク友達として仲がいい。彼と離れるまでは、ずっと3人で行動していたほど。
「だって佑と南はオタク友達だろ?」
共通のアニメで意気投合した2人がいつか本当にくっつくんじゃないかって、ヒヤヒヤしたことも佑に打ち明けていた。
やや強く確認している俺。中学が離れ離れになったと涙を見せた南に想われていた佑が羨ましいと思っている。
もちろん、泣いたことは友人に言わないまま。
『言い聞かせて確認する前に、ちゃんとコクれよ?いいな、拓哉!!』
強制終了されたビデオ電話に、顔を手のひらで覆い隠した俺が映っていた。
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