ヘルプ

5/8
前へ
/33ページ
次へ
 俺と姉貴は南の反応を待っている。反応次第では俺の1日のテンションが決まる。  ハーフアップした焦げ茶が俺と姉貴を交互に見つめるたびにさらりと揺れる。 「ビックリしませんよ。昔からモテますもん。それじゃあ、わたしはこれで」  何事もなかったかのように俺の隣へと近づいてくる。くっきり二重に猫目の大きな瞳に俺がうっすら映る。  たっくん?  と見上げてくる時が1番ドキドキしてる。姉貴は機嫌が悪くなったようで、足音をたてて玄関へと引き返している。  154センチの南と170センチの俺。  身長差16センチの片想い。 「行くぞ?南」 「うん!!」  明るい声が左隣から聞こえる。心地いい距離感が今みたいなゆるふわな雰囲気を作り出しているのだとしたら、俺は言わない選択肢を選ぶだろう。  俺が気心知れた親友だから。  家族以上親友  それが心地いい。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加