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 拳1つぶんの距離を保ちつつ通学路を歩いていく。学校が違う高校生が、俺らを見て囁く声が聞こえなくてもわかる。  兄妹みたい  そう言われ続けた。違うと言いたい俺に対し、南は頼れる兄なんだと悪びれなく笑う。 「岡田くん、クマッたを見てくれるならさ、今週末行かない?」  クマったが雑貨屋に来るイベントが間近に迫っている。俺は左手で通学鞄を肩にしょいながら、行かないと呟く。  ええー  と小さな落胆の声を聞く。南は言わないが、俺は知ってる大宮佑を誘ったことを。  男友達とはいえ1対1ならそれは。 「オタ友とデートだろ」  俺が提案したことなのに、ズキッと胸が痛んだ。こういう時、嫌でも付き合うのが、南の好感度を上げるのだろう。 「え?こわ・・」  距離が遠くなっていく。その手を握りしめたらどれだけいいだろう? 「ガチで詳しいやつと行ったほうが楽しいだろ?山寺さん」  正論を言って南を納得させて、俺は内心で落ち込んで、負のループが続いてる。  負の流れが変わったのは、1通のメールからだった。
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