最強な南

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 ピリリと張りつめた空気が、パチパチとまばらに聞こえてきた拍手により変わっていく。クラスメートは騒ぎながらも、聞き耳をたてていたらしい。  パチパチパチパチ  パチパチパチパチ  俺も船岡くんも箸を置き、拍手をする。女子2人は眉尻をさげ、困惑気味の笑いを浮かべ、背もたれに、もたれかけ、アイコンタクトを送っている。  ねぇ、どうする?と 「ところでさぁ~岡田くんの好きな人って」  ゆみっちとあいなんが友達をやめると離れていっても、2ーC組のクラスメートが、南の勇気ある行動に友達になりたいと近づいてくるだろう。  ホッと安堵していると、南の猫目が船岡くんに向けられる。視線を向けられている彼は、ありがとうと言うばかりで、訂正はしない。少し脇腹を小突き、船岡くんに耳打ちする姿を見て、南は深く頷き、理解したよう。 「俺らが、デキテルと思われてるけど?」 「ボクとしたことが・・・安心してください今から流れを変えますから!!」  本当だな?と視線で問いかける。こくこくと頷く船岡くんに託す。 「山寺さんは勘違いしていますよ」  細い指を左右に動かして顎に添えていつもの探偵ポーズをしてから。  うん?と大きな猫目が左右に揺れて、俺と船岡くんを見る南。 「友達になったばかりですよ」  ん?  訂正したのか?  いや、してないな。  南は左手の平に右手の拳を当てて、なーるほどーなんて笑う。 「友達からのお付き合いなわけね」  ごほ、ごほ・・  たまごのふりかけが変な所に、はいって噎せた俺。  全然フォローになってねぇ!!  じろりと横目を向けると、船岡くんが苦笑いをしていた。
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