プランB 推しを知れ

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 クマったの着ぐるみに消臭スプレーを吹きかけている河北さん。俺はぬるくなったシートを首元から剥がし、キンキンに冷えた保冷剤を首筋に当てて、タオルを手に汗を拭く。 「岡田くん、最後の子だけズルいんじゃないの?」  ありがとうと書き足したことを咎めてくる。ファンサービスをどこまでにするか、不在の郡上店長と会議で決めたことを破った俺。はぁぁーと河北さんがため息をつく。  シュ、シュ、シュ  消臭スプレーの香りが漂う、反論などしない。 「まあ、頑張ったからよしとするか」  風通しがいい場所にクマったが干されている。河北さんは戻りながら、画面をこちらに突きつけて。  #クマったサイン会行ったら、神ってた件  ハッシュタグ付きで、クマったテーマソングを全力で踊るクマったが載せられている。  俺は、クマったファンから認められた。手のひらを握りしめ、突き上げる。 「うっしゃーーーー!!」  南が好きな推しに近づけた。雄叫びは控えめにと河北さんが微笑んでいた。
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