幼馴染み属性は

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幼馴染み属性は

 家族のような関係がかわったのは、10歳の頃。  推し活という言葉を知る前のこと・・・  俺はモンスターのカードデッキを集めるのに夢中になっていて、対戦相手をしてくれたのが南。 「水属性可愛い。う~ん草属性もいや、火属性もいいよね」  シャッフルする前のカードを見ながら、笑顔になる南。対戦のやり方すら知らない彼女は可愛いだけで虜になった。 「可愛い可愛い言ってたら、いつまで経っても戦えないだろ?」  カードをまとめシャッフルしていく俺を見つめる南。真ん中に山札を作り、手元の手札の枚数を引いていく。  10歳の頃の彼女は、これまた可愛いという理由でお団子ヘアーをしていた。  キャミソールワンピースから見える二の腕は、こんがりと日焼けしている。ひまわりが大きくプリントされたお気に入りのキャミソールワンピースなのだと俺に教えてくれた。  手札を取るたびにたびたび触れる小柄な手にドキッとした。 「たっくん、触れるたびになんで手を引っ込めるの?」  2人の時だけ名前で呼びあうことにしたのもこの頃から。理由はよくあることで、クラスメートに仲を勘ぐられていたから。 「南の勘違いだろ?さぁ、はじめるぞ」  何戦しても、俺が勝っていく。次第につまらなくなっていく南の表情を変えたくて。  あの言葉を言ったんだ。
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