幼馴染み属性は

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 あれから7年経っても、家族以上親友継続中のまま高校2年生になっている。  7年の歳月で知り得たことと言えば、山寺家が推し活ブームの時に、さらりとカミングアウトしてきたこと。 「そう言うことなら言えばいいじゃないか?」  ここでプロローグの最終ページに戻るわけだが、虎雄おじさんは、お節介というか、恋には積極的というか。 「男の秘密を打ち明けるんですか?刑事なのに口が軽いんですね」  キラーワードをつかう俺は内心で酷いやつだと思いながら、腰を浮かせていた虎雄おじさんが、再びイスに座り直し、ほっと安堵している。 「拓哉くん、娘に嫌われちゃうよ?恋の模様なんて遠ざかるかも」  娘のことを気にかけるのが親だと思う。    ただ、親しんだ俺には警戒が薄れているのか?それとも7年経ってもはじまりもしない恋に、俺はダメだと烙印を押されたか。  たぶん、後者なんだろう・・・  俺は天井を見上げて苦笑いを浮かべる。気づいてしまった。  推しには勝てないことに  推しの愛が強いことに  だから、俺は推しを愛し続ける山寺南ごと愛そうと決めた。 「とにかくマル秘でお願いしますよ!!」  取調室のような虎雄おじさんの部屋を出て、玄関へと向かう。 ****  見送りに来たのは虎雄おじさんだけで、振り向き様に、肩に手を置かれた。 「頑張りなさい。応援してるからね」  幼馴染み属性は有利だと強く頷けるのは、南の両親が味方についてくれることだけ。
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