幼馴染み属性は

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 姉弟のくだらない攻防戦が終わった頃を見計らって母が来る。そうして用意していたバスタオルを手渡す。 「(あかね)、いつまで中2病してるの?こうなったら、拓哉は傘で対抗しなさい。いいわね?」  濡れた部分をタオルで拭き取り、中途半端な母の仲裁に苦笑する。 「母さん楽しそうじゃん。まぁ、付き合えるうちは付き合ってあげましょう」  俺は上からの物言いで姉貴を見ると、ふいとそっぽを向き反撃の一撃を向ける。 「なんなのその態度、だったらいいわよ。南ちゃんに言っちゃうもん。変装グッズだって貸さないもん」  見に行けないくせに、言えないくせに、俺からスマホを奪い取った姉貴は南のラインを知っている。そして、俺の秘密も。  廊下を進みながらまぁまぁとたしなめる母に、ズカズカと足音大きく反発する。  25歳の姉貴は、某有名なアニメのガキ大将みたいな性格で困る。  廊下に膝をつき、頭をつけていつものくだりをするしか選択肢は残されていない。 「無礼を失礼しました。茜さま何卒怒りを静めてください」  アホだろうと大いに突っ込んでもらいたいくらい、家では喜劇が繰り広げられている。
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