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参
調度品も装飾品もなく掃除の行き届いた十畳の部屋は、襖と障子を抜ける風が古い畳の香りを舞あげていた。その中央に、ぶちまけられた墨汁のように放物線を描き広がった黒髪は、主である杏の肌の白さを際立たせていた。
はだけた半襦袢からは汗の雫を乗せるような鎖骨が露になっていた。そこからなだらかに膨らむ乳房の先は、透明な水に一筆差した紅のように薄く染まっていた。
「はぁ」
色づいた乳房の先を姉梓の唇についばまれた杏は、息を漏らして身じろいだ。腰ひもを残したまま乱れた腰布から白い足が伸びる。その間に足を滑り込ませた梓が身を反らせる。杏と梓、互いの濡れた場所が触れあった。
「ああ。姉さま」
杏は梓の足を抱くように腰を動かしていた。その動きに応えるかのように梓の息も弾む。
四本の白い足は蛸足のように絡み合い、擦れた桜貝に似た 肉襞が刺激しあうように潤った音を立てた。
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