だんらん

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だんらん

   祐斗とセナはリュカに聞いてタツキ、アキラの部屋を訪ねた。 「ごめん、荷物の整理に時間かかっちゃって」  アキラの部屋を見回す。タツキの部屋もそうだったが自分たちの部屋に比べて、こう言っちゃなんだがかなりごちゃごちゃして見えた。装飾品が多いのだ。 「良かった、こういう部屋じゃなくって!」  つい本音が口から出た。 「あ、ごめんね!」 「いいよ、ホントのことだし」  アキラが苦笑する。壁にはランプがあり、絵画が飾られ、天井にはシャンデリア風の立派な電灯。あちこちにアンティークな飾り物が施されている。祐斗から見れば、やっぱりごちゃごちゃだ。 「サイファに感謝しなくちゃな」 「うん!」  こんな部屋じゃ、いるだけで窒息しそうだ。部屋にこもることも出来ないかもしれない。  アキラの電話番号をもらって一緒に部屋を出た。セナの部屋でランチを取る。タツキも来てくれると言っていた。 「タツキは機嫌悪かったけど」 「あの部屋じゃ機嫌も悪くなるさ。日本で暮らしてると自分が必要とする物しか無いし。押し付けられた飾り物の中で暮らすのは鬱陶しいと思うよ」    ランチは楽しかった! 祐斗の顔もほころぶ。 「居心地って聞いてもまだ分かんないよね。俺は久しぶりでちょっと勝手が違うって感じだよ」  アキラがそんな話をする。 「俺は行ったり来たりが多いから違和感を感じる暇がない」  とは、サイファ。 「タツキは?」 「日本で暮らした期間が長かったからな。ローグの顔見ながら過ごすのかと思うと正直いるだけで鬱陶しい」  タツキとローグの折り合いは悪いらしい。 「その内また他で仕事を見つけるつもりだ」  途端に祐斗の顔が曇るのを見てサイファがタツキに目配せをした。タツキは言葉を添えた。 「その内にな。何十年かしたら、って話だ」  ヴァンパイアの"時"の感覚が分からない。その人生の中で『何十年かしたら』と言えるほど時間が有り余っているのだから。  タツキは『この部屋が羨ましい』と言い、アキラは諦めたような顔だった。 「あんな部屋じゃなくて助かったよ」  セナがサイファに礼を言う。 「どういたしまして。だいぶローグの機嫌を損ねたけどね」  サイファはにやっと笑った。  ランチを終えて三人はそれぞれの部屋に引き取った。 「タツキ、すぐに出て行っちゃうってことないかな」  そのことが祐斗の心を少し暗くする。 「大丈夫だよ。あいつ、今出て行ったらきっと負けた気がすると思う。そういうヤツだから」 「うん……」  ここの暮らしにどれくらいで慣れるだろう…… それが一番不安だった。  
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