ディナー

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   味わうなど出来なかった。アルフレッドが話しかけている。ぼうっとした面持ちでその言葉を聞いた。 「いくつになる?」 「17です」 「そうか。人間で言えばもうすぐ大人の仲間入りだな」 「はい」 「セナはいい父親か?」 「はい」  話しかけられたのはそれくらい。後はアルフレッドの話はセナに向いた。 「日本はどうだった?」 「規制が厳しくてね。ヴァンパイアには生き辛い状況だね。俺としてはこれから先は日本への移住はお奨めしない」 「いい国だったのに…… 祐斗、私も日本に滞在した時があったよ。はるか昔だが」  なんと返事をしたらいいのかと迷っている内にシバが話しかけて来た。これには安心して答えることが出来る。 「出国は慌ただしかっただろう?」 「うん、ばたばたしてて……かえって良かったかもしれないって思ってるんだ」 「そうなのか?」 「いろいろ考え込む暇がなかったから」  シバの目は温かかった。 「辛い思いをしたな…… ここで寛げればいいんじゃが。近い内に研究室にも案内しよう」 「うん…… シバ」 「なんじゃ?」 「今度部屋を訪ねてもいい?」 「いつでもおいで。セナに電話の番号を教えておくから」  祐斗の口元に笑みが浮かんだ。これであのログハウスでの家族としてのメンバーが揃う。  ようやく食事に味が戻って来た。どれも素晴らしく美味しかった。  
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