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ふたりは顔を見合わせて、同じタイミングでぷっと吹き出した。
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痩せた畑の前に、アンナとアクキューアは立っていた。
「よろしくお願いします、アンナ」
アクキューアがいつものようにアンナを抱きしめてくる。
そのとき、初めてアンナは両腕をアクキューアの背に回した。
深い意味はない。
つもり、だった。
「……っ!?」
ところが驚いて体を離したのは、アクキューアの方だった。
「ごめんなさい。だめだった?」
「い、いえ。まさか抱きしめ返されるとは思いませんでした……これはこれで」
アクキューアがアンナから視線を逸らす。
「悪くは、ないですね」
「そうでしょう?」
この頃には、抱きしめられることにアンナも緊張しなくなっていた。
アクキューアはもう一度、アンナを抱きしめた。
今度はアンナの両腕が背に回っても驚かない。
アンナはアクキューアの胸板に顔を埋めながら、一気にまくしたてた。
「どきどきして慣れないけれど、ずっとこうしていたいって思うようになったの。また変なことを言っていると思う?」
「いいえ」
一呼吸おいて、アクキューアは続ける。
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