偽物と罵られた聖女は水の精霊に抱きしめられて雨を降らせる

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 ふたりは顔を見合わせて、同じタイミングでぷっと吹き出した。 * * *  痩せた畑の前に、アンナとアクキューアは立っていた。 「よろしくお願いします、アンナ」  アクキューアがいつものようにアンナを抱きしめてくる。  そのとき、初めてアンナは両腕をアクキューアの背に回した。  深い意味はない。  つもり、だった。 「……っ!?」  ところが驚いて体を離したのは、アクキューアの方だった。 「ごめんなさい。だめだった?」 「い、いえ。まさか抱きしめ返されるとは思いませんでした……これはこれで」  アクキューアがアンナから視線を逸らす。 「悪くは、ないですね」 「そうでしょう?」  この頃には、抱きしめられることにアンナも緊張しなくなっていた。  アクキューアはもう一度、アンナを抱きしめた。  今度はアンナの両腕が背に回っても驚かない。  アンナはアクキューアの胸板に顔を埋めながら、一気にまくしたてた。 「どきどきして慣れないけれど、ずっとこうしていたいって思うようになったの。また変なことを言っていると思う?」 「いいえ」  一呼吸おいて、アクキューアは続ける。
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