エースは決勝に向かう

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 ここから見える壮希は、全く臆しているようには見えない。本気で光北(ウチ)に勝つつもりだ。  桜台の壮希(エース)は全力で向かってくる。  僕はどうだっただろうか。  少しでも元気になった壮希と試合をしたい、打たれるあいつを見たくないなどと思っていたが、それは心の奥底で 「桜台がウチに勝てるはずはない」  と見下してしまっていたかもしれない。   『オマエも油断はしないことだ』  バスの中で生田が言った言葉が頭の中で蘇る。  そのとおりだった。試合に対し全力で意識を向けていなかった。  壮希は全力で向かってこようとしているのに。  チームは甲子園出場に向かって結束しているのに。  僕が最も油断していたのだと、僕は自分自身を恥じた。
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