エースは決勝に向かう

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*  カーテンが開く音で目を覚ました。  光が差し込んできて思わず僕は目を逸らす。 「おはようございます!」  井上の声がした。カーテンを開けたのは井上だ。僕は細かい上下関係なんて気にしないが、井上はいつだって僕より先に起きる。 「おう……おはよう」 「外、雨止んでます! 晴れてますよ。試合できますよ!」 「そうか………………って、ええ!?」  寝ぼけていた頭が一瞬で目を覚ます。  たしかにカーテンの向こうの窓からは、これ以上ないぐらい真夏の光線が差し込んでいた。思わずベッドから出てレースカーテンをも開けると夏の景色が待っていた。  昨日の夜、降り続いていた雨は止んでしまったらしい。  窓のそばに寄って見上げた空は、呆れるぐらいに青かった。  今日は、試合がある。
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