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「トイに見せられなくて良かったのですか?」
そう聞かれ苦笑する。
頑張れと送り出される事を想像して、会う勇気がなかったのだ。
「トイは兄様付きの侍従だから···」
なんて言い訳を口に出すと、侍女はそれ以上何も言わなかった。
侍女を馬車に残し会場に向かう。
誰かいるかしら、と周りを見回すが、メリーと同年代の友達は皆嫁いでおり、今回の夜会には参加していないようだった。
仕方なくワインを持ち壁に向かうと、一人の男性に声をかけられる。
「一曲お相手くださいますか?」
ワインを置きそっと手を重ねるとそのままホールに連れられダンスが始まったのだが···
“ちょ、ちょ、ちょっと近すぎるんじゃないかしら!?”
まるで吸盤のように引っ付かれて焦る。
体を離そうにも腰をしっかりホールドされており離れられない。
相手の胸に自身の胸を押し付ける形になっているメリーは、もはや平べったいと言えるほどの形になっている胸に慌てるしか出来なくて。
「あの、ちょっと近すぎると思うのですが···!」
「そうですか?このくらいダンスでは普通では?」
いや絶対普通じゃないですけど!!
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