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5.覚悟を決めるのは貴方だけ。
「おい、大丈夫か?」
そうトイに聞かれ、へなへなとしゃがみこみそうになる。
そんな私を支え馬車に乗り込んだトイは、馬車のカーテンを全て閉めて力一杯抱き締めた。
「何かされたのか?」
「や···胸を鷲掴みされたり押し付けさせられたり、とか···それくらい」
「なるほど、とりあえず消せばいいな?」
「消さなくていいです」
ゆっくり動き出した馬車から飛び出そうとするトイをしがみついて阻止し、なんとかもう一度座らせる。
「····胸触られて···凄く嫌だった」
「そりゃ、まぁ···知らない奴にそんなことされれば嫌だよな」
「知ってる人でも嫌だと思う···」
同意してくれたトイにそう言葉を重ねると、思わずトイが顔をしかめる。
そんなトイにお構い無しで言葉を続ける。
「トイ以外は嫌だと思った···」
そう伝えると、しかめた顔を徐々に戻し、ぽかんとこっちを真っ直ぐ見て。
「トイにだったらずっと触られてたい、もっと触られたい···さっき掴まれた感触が気持ち悪いの、だから」
視線が絡んだトイに、そう伝えゆっくり立ち上がる。
「ばか、動いてる車内で立つな危ないから」
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