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「···ただいま戻りました、旦那様、ルーイ様」
と、頭を下げた。
ギョッとして前を向くとそこには父と兄が立っていて。
「こ、れは、その···!」
何を言うべきかわからずもごもごしていると、顔を見合わせて笑った父と兄は。
「良かったな、メリー」
と言ってくれて。
思わずぽかんとするが、慌てて確認したかった事を聞く。
「あの、よろしいのですか?私、政略結婚とか···その···」
トイ以外は考えられない、嫌だ。だが、貴族の娘として生まれた義務があるのもわかっていたメリーは思わずそう口に出すが。
「政略結婚させなきゃいけないくらいウチは困ってないし、それに行き遅れた娘でもメリットがある政略結婚って、お前の倍以上の年の後妻とかしかないぞ?」
「当主ではあるが、一人の父でもあるからな。やはり幸せになって欲しいとも思っているし、正直トイなら安心だからなぁ」
そんなのアリなの?と呆然としながらトイの方を見ると、複雑そうな顔と目が合った。
「実は、メリーがあまりにも婚約の申込みを断るから···その、俺を好きなのでは、と一度噂になって」
「えっ」
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