17人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「パパってば、伊藤大臣に片想いしてたんだ〜。ウケる」
娘である千春には、片想い中ならすぐに告白してフラれてしまえ。両思いならばラッキーだが、付き合うのはダメだと毎日ウザいくらい念押ししてきた父、沼田。
──私がゾンビになったら困るもんね。厚生労働大臣的に。
「偉そうな事を言って、自分がゾンビになってる……しかも、全国ネットで晒されて、ホントにバカだよね?このポテトチップス……しょっぱすぎ」
「千春……」
ルミが千春を慰めようとして肩に手をやると、再びテレビ中継が騒がしくなった。
「これはどういった現象でしょうか!沼田ゾンビが再び女性を追いかけ出しました!狙われているのは女性記者です、週間野獣の女性記者です!」
数々の下世話記事をすっぱ抜く、週間野獣の敏腕記者八代友美が、悲鳴をあげながら逃げまどっている。
「片想いの二股……」
さすが海千山千の八代記者、数えきれないほどの野獣砲を放ってきた女だ、逃げるのは止めて攻めに転じる気の強さ。
沼田議員の知られざる性癖を、次々と暴露しながら物を投げつけている。
ゾンビになった沼田にはノーダメージだが、身内には計り知れないダメージだ。しかも娘である千春は高校2年生、学校は閉鎖されているから行かなくてもいいが、近所付き合いはもう無理だ。
最初のコメントを投稿しよう!