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私は執行官では無い。それを前提に考えると、致命傷になるところを避けなければいけないので、腕や足といった部位を狙う必要がある。まずは、私が視認できる一番奥の敵を狙う。このストレートの場所で一番奥にいるのは40m程先。敵には気付かれていないのでゆっくと照準を――。
「動きすぎよ」
それもそうだ。敵はリストキー副所長を狙う為、手すりを駆使しながら頭を出しては屈む。頭を出しては屈むを繰り返している。
「仕方ない」
私は一番近い敵の左足を撃った。異変に気付いた敵勢力は全員私の方へ向かって銃を撃ってきた。全員ハンドガンでまだ助かったわ。リストキー副所長のところなんて、サブマシンガンやらアサルトライフルを持っている敵がいるもん。
私はセレネの銃撃で牽制しながら敵を近づけさせないでいた。ただ、牽制はできるけど射撃訓練場のように思ったところに当たらない。ゆっくり狙おうものなら、弾丸の餌食になってしまう――。どうしたものか――。
そう考えていると、私の前にいる敵が次々と倒れていった。
「エリー! ナイス囮だ!」
そう言って身を乗り出してサムズアップをしているリストキー副所長。目の前にいる敵を倒してくれたのはありがたいけど――。
向かい側の奥にいる人間が一人、リストキー副所長を狙っている!
「リストキー副所長! 危ないです!」
すると、リストキー副所長は「ん?」と言って私が指した方向を見た瞬間だった。ダン! という音と共に、リストキー副所長の頭が後ろへグイっと持っていかれた。
「リストキー副所長!」
私は自分でも驚くくらいの声量でそう叫んだ。確かに頭に当たった――。
そう思っていると、リストキー副所長がその敵に対して撃ち返していた。その異常な光景に敵の人間はさらに奥の方へと逃げていく。
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