第三話

3/3
前へ
/102ページ
次へ
 「作品探しをしますか」  天宮は月に30~40ほど面白いWEB小説を会社に報告する必要がある。ノルマのようなものだ。それだけの面白いWEB小説を報告するには、その何倍ものWEB小説を読まなければならない。しかし、時間的に考えて、完結まで読む余裕はない。そこで、面白いと思ったWEB小説の提出は、初めの約一万文字までで評価してもかまわない。研修の際、そう教わった。  つまり逆に言えば、どんなに面白いと思っても、連載中の作品は、最低一万文字数なければ上へ報告することが出来ないのだ。更に、コンテストに応募している作品の場合、規定文字数は二万からだったりする。どれだけ書き手が丹精を込めようが、面白いと自負していようが、規定の文字数をクリアしてなければ、読まれる可能性はほぼない。  「この作品の文字数は……足りない」  天宮は【文化祭フォトアルバム】というWEB小説にちらりと目をやった。概要では、写真部の女子高生が、文化祭に使う写真を撮りに動く、青春ジャンルの連作短編集のようだ。だが、文字数は報告できるラインに届いていない。一つの短編として完結させて、短編のコンテスト等に応募してくれれば、読みに回ることもあるだろうか。  いつか、文字数をクリアされることを祈って、次のWEB小説を探した。
/102ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加