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スマホのバイブが鳴る。三回目の振動で、ベッドで寝ていた天宮夕凪は、意識が覚醒し始めた。
「んー」
充電中のスマホを手に取り、アラームのアプリを触る。停止、っと。時刻は朝の七時。少しだが、食パンのトーストや、焼いたソーセージの匂いがした。天宮の母が朝食を作ってくれているのだ。
「ん。メッセージきている」
スマホを確認する。七海燦太からだ。「昼、焼きうどんなー」と書かれている。ああ、燦太が作ってくれるんだった、と記憶が蘇る。天宮は、起き上がり、寝ぼけた眼をこすりながら、部屋を出た。玄関には、年の離れた中学一年の妹が、靴を履いている。これから学校か。
「おはよう、小凛」
「おはよう。今日、燦太兄って来るよね?」
「んー。来るよ」
「そっか。じゃあ、いってきます」
「ん。いってらっしゃい」
家を出る小凜を見送り、天宮は、洗面台に向かう。歯ブラシで軽く歯を磨いて、口をすすいだ。昔は寝起きに歯磨きはしなかったが、いつの頃からか、口の中の粘つきが嫌で、歯を磨く習慣ができていた。
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