第一話

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 次に天宮はリビングに向かう。お天気コーナーがついたテレビが視界に入った。今日は晴天らしい。あまり関係ないが。すると、母の美月が声をかけた。両手にはスクランブルエッグやソーセージなどが乗った皿がある。  「夕凪。トースト取ってくれる?」  「はいよー」  テーブルに料理を乗せて、母が椅子に座る。まだ、食べてなかったようだ。天宮も向かいの席に座り、朝食を取る。  「お母さん今日、出かけるのは知っているわよね?」  「うん。昼食は燦太が作ってくれるって」  「そう」  どこか嬉しそうな母の顔が見えた。母はつぶやくように天宮に話す。  「燦太くん、その気になってくれると良いわね」  天宮は苦笑した。それはない。もうどれだけの月日が流れたと思っているのだろう。  「どうかな。無理だと思うけれど」
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