第一話

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 朝食を食べ終えた天宮は、自室に戻り、扇風機を点ける。それからクローゼットにあるシンプルなワイシャツに着替えた。あまりオシャレな服ではない。これから仕事をするための服で、少しよれよれだ。顔を洗ったり髪を整えたりと、身支度を済ませた天宮は会社から渡されたパソコンを立ち上げる。開始時間まであと二十分ほど。メールが来てないか、チェックする。今日はフルでのバイトだ。気合いを入れなければ。  「片付けよし、身支度よし、飲み物よし」  部屋を見回し、自身の見た目を確認し、デスクの上にある粉末で作った緑茶が入ったコップを見る。準備は完了だ。  開始時間から数分。パソコンに入っている連絡ツールで、遠隔でのビデオ通話で朝礼に参加する。天宮も今日の予定を話し、連絡事項を聞く。朝礼が終わると、天宮は伸びをした。  「さーて。働きますか」  天宮は小説投稿サイトを開く。最近、天宮は「スコッパー」、「下読み」と呼ばれる、小説投稿サイトから良作のWEB小説を探し出すバイトに採用された。  今日も天宮は、ネットの大海に潜り、光る原石を探し出す。
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