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01 現実はゲームのようにうまくいかないらしい
目の前で繰り広げられているラブシーンに、心臓をつかまれたような衝撃を受ける。
愛を囁き、寄り添う一対の男女。
整った顔立ちをした艶めく金髪の男と、明るい栗色の髪をハーフアップにした女が、緑あふれる裏庭でひっそりと見つめ合う。それはさながら、ロマンス小説の一場面のよう。
ただここで問題なのは、女の腰に手をかけている男が、自分の婚約者であるということだ。
――殿下、どうして……。わたくしに、そのような瞳を向けてくださったことなどありませんのに。
心の奥底で悲痛な叫びをあげるなか、私もまた内側で叫んだ。
――え、嘘やん。あれはまごうことなき、王子ルートに出てくるイベントスチルやーん!
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