あの夏に呪われている

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三番目に戦う中堅は二勝や二敗など大事なところで回ってくる試合の要であり、二番目に強い選手がつくことが多い。四番目に戦う副将は時には無理に責めず大将に任せるなど、器用な選手がつくことが多い。そして最後に戦うチームの大黒柱である大将は、一番強い選手がつく。 今回は一年生のデビュー戦ということもあり、先鋒と次鋒、そして中堅も一年生だった。莉乃は副将に選ばれたものの、一年生のデビュー戦で仕方ないとはいえ、このレギュラー構成に不安を感じていた。そして、その不安は的中する。 相手の学校はそれほど実力のあるところではなかった。しかし、先鋒を任された後輩は試合が始まってすぐに相手に二本取られて試合は終わり、先鋒が負けたことで次鋒も中堅も負けて試合は終わった。 (は?何でこんな弱小チームに負けてんだよ!!) そう怒鳴りたい気持ちを堪え、莉乃は竹刀を手に戦った。相手から二本取ることができたものの、もうすでに勝敗は決まってしまっている。 「双方に礼!!」 審判に言われ、莉乃は悔しさを噛み締めながら相手に頭を下げる。初戦敗退ーーー莉乃が初めて味わう屈辱だった。
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