あの夏に呪われている

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「こんな負け試合するくらいなら、最初から出ない方がマシだった。ていうか、あいつらサークルやめろよ。負けてアイスの話すんなよ。真面目に剣道やる気あんのかよ!!」 どこにもぶつけることのできない怒りが、莉乃の口から飛び出していく。そんな莉乃を太陽は先ほどより強く熱を持った光でジリジリと照らし、莉乃のTシャツに汗が染み込んでいく。 「あっちぃな!!蝉もうっせえし、鬱陶しいんだよ!!」 莉乃の近くにある木に止まった蝉が、メスを求めて大きな声を上げる。それも一匹ではなく、何匹もだ。その大合唱に莉乃の苛立ちは募っていく。 涼める場所はないのかと辺りを見回すが、この辺りには公園とシャッター通りしかない。体からさらに汗が噴き出てくるのを感じながら、莉乃は歩いていく。 「ハァ……。この辺り、マジで何にもないのかよ」 怒りに任せて試合会場を飛び出してしまったことを莉乃は少し後悔する。飛び出して来なければ、今頃冷たいアイスクリームを食べていたかもしれない。
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