あの夏に呪われている

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「喉乾いた……。自販機もないのかよ」 辺りを見回しながら莉乃は歩く。もう三十分近く歩いているため、体は疲れ切り、喉はカラカラに乾いて水分を体は欲している。 汗を拭いながら莉乃は曲がり角を曲がる。その時、目の前に現れた光景に莉乃は足を止めた。 「えっ?こんなとこにカフェなんてあったのか?」 莉乃の目の前には、可愛らしいパステルピンクの外見のカフェがあった。ここは少し前までただの空き地だったはずだ。 可愛らしいものやインスタ映えなどにそれほど興味のない莉乃にとって、目の前にあるカフェに入るのはかなり勇気がいることだった。しかし、喉の渇きはもう限界に近い。他に休めるようなところは何もなく、仕方なく莉乃は真っ白なドアに手をかける。 「いらっしゃいませ」 可愛らしいぬいぐるみや小物が飾られたカフェの中に莉乃が入ると、店員が出迎える。セミロングの茶髪は緩く巻かれ、まるでメイド服のような制服を着ている。ニコリと笑ったその顔に、莉乃はモヤモヤとした気持ちを覚えた。 (どこかで見たことがあるような気がする……)
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