置傘してあったのにクラスメートに傘貸してって言われたけれど自分が濡れるから本当に嫌だ

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置傘してあったのにクラスメートに傘貸してって言われたけれど自分が濡れるから本当に嫌だ

ー傘があるのにー これはチャンスなのって、彼女は言った えー、それとわたしの傘とどういう関係があるのか、問い返す なに言ってるの、親友なんだから えー、いつわたしたちは親友になったんだ? ロッカーを開けた途端 目ざとく奪い取った わたしのお気に入りの『傘』を 自分のリュックに入れたわね 唖然とするわたしを置いて さっさと行ってしまった なんなん? この雨、どんどん凄くなる 駅まで充分びしょ濡れだ いっそのこと、すんごい雷でも鳴って 誰も校舎から出られなくなれーー!!⚡😱⚡ ー傘があってもー  本当に誰も出られなくなった。 校庭の(イチイ)に雷が落ちたからだ。  櫟はこの学校の開校記念に、当時の県知事がまっすぐ生徒が育つようにと植えたのだという。  樹齢百年を経た大木だ。 ちょうど生徒用の出入口前に在った。 特に剪定もされず、当初の願い通りダダ真っ直ぐに伸びやかに育って、今では3階の窓のあたりまである。  付近にいた何人かの生徒は、裂けて煙が上がる無惨な姿の大木を見ていたが、最も近い場所に居た女生徒二人が倒れていた。
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