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第1話 彼を人たらしという
会社の部署を異動になった。
私は自社ビルの二階から五階へ。
五階の窓からは晴れていれば富士山が望める見晴らしの良い事務部に異動になった。
元々は秘書部にいたのではっきり言って気分は降格の感じでずっしりと重たい。
そういう先輩は多かったから覚悟はしてはいた。
人はいつまでも若くはいられない。
異動は異例の六月中旬で今日は雨はまだ降ってはいないが外は蒸し暑くて、ただ会社内の冷房は効きすぎていた。
事務部につくと一人の男の人に惹きつけられた。
この時の私はまさか期間限定でこの男も女も磁石のように惹きつける上司と付き合う事になるとは思ってもいなかった。
なにもせずとも人が寄る人がいる。
フェロモンが出ているという事なのだろうか?
それをいつか先輩が言っていた。
あいつは人たらしだから気をつけなって言われた。
無意識に人を惹きつけて離さない魅力を持った人が目の前にいる。
「人たらし」と言うそうだ。
私はひと目でこの上司に視線を奪われていた。
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