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はじまりの恐怖
家に帰ると最近郵便受の鍵が開いている
ダイヤル回してロックしたはずなのに
家にいても何か不安で
誰かにいつも見られている気がした
スマホには謎の非通知着信
初めての時に電話に出てしまい
無言が続いたので切った
それからは怖くて出ていないけれど
ほぼ毎晩電話が掛かってきている
これはあきらかに
ストーキングされていると感じた
ある日、それが決定的な手紙が
郵便受けに入っていた…
「ずっと見ています、あなたを守りたい」
と書かれていた
私は警察署に行き相談をしました。
しかし、一回だけの
手紙だけでは警察はあまり何も動けないと
物理的に被害がない状態では
あくまでも相談というかたちで済まされた
納得いかず
無理を承知で
郵便受を荒らされた事の
被害届けを出してきた
そんなある日のこと
テレビで
近くの○○区△△町で25歳の女性が
殺され遺棄されてたという事件の
ニュースをしていた
他の番組では
首を絞められ、額に『6』の数字の傷
ナイフで切り裂かれた傷
猟奇的殺人とマスコミが報道していた
一人暮らしのOL・・・私と同じ…
年齢も同じだった…
仕事帰り、いつもの様に駅前の
コンビニに寄り、夜ご飯のおにぎりと
サラダを買って帰る
線路沿いの道から
路地に入った時、肩を叩かれ
驚き!思わず声を出して叫んでしまった
「おい、おい、坂巻だろ?」
誰?なんで名前を知っているの?
「同じ高校だった竹下だよ」
竹下?正直全然記憶にない
「お前バトミントン部だったろ
俺はバスケットボール部で
体育館でよく会っていたよ」
「友達の宮越圭子と友達だったろ
俺、宮越と付き合っていたんだよ」
圭子とはたしかに唯一の友達で
よくしゃべていたけれど
付き合ってた人は知らない
だから当然彼の事も覚えていなかった
記憶がなかったけれど
言い出せなかった、それが
顔に出ていたのかもしれない
「その顔は覚えてないみたいだな
ショックだな」
「けど、まぁ
俺は違うクラスだったからな・・」
「家こっちなのか」
「そうか、俺もだから
途中まで一緒に帰ろうぜ
女性の一人歩きは危険だからな」
「ありがとう」
「なんだ、夜飯はコンビニか?」
「うん、仕事で疲れるから自炊は……」
「ちゃんと栄養のあるもの食べろよな」
彼はほとんどひとりで喋ってくれていた
「それじゃなぁ、俺はこっちだから
またな!おやすみ」
「おやすみなさい」
私は圭子と違い
あまり男子にはチヤホヤされず
地味に学生生活を送っていたので
たしかに、同級生でも名前が
思い出せない人もいる
まして、違うクラスなら
なおさら知らない人ばかり
この時はさほど気にはならなかったが
明るい良い人だとは思えた。
それからは、
たまに駅から家の近くまで
話しをしながら帰った
次第に私からも普通には喋れるように
なっていっていた••
ただ、家に帰ると
相変わらず、非通知着信はあり
ストーカーと思われる行為は
止むことはなかった
ふと、思った……
必ず家に帰ってから着信があった
思わず、カーテンをあけ窓から
外を見回した
帰った事を知っているかのように
必ず部屋に入った時だった
何処かから見られてるのかもと
背筋が凍る思いをした
私に相談出来る人など誰もいなかったけれど
今なら彼に相談できるかも
明日会えたら言ってみよう
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