九尾の狐

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一祭り2日目一 「仁、やった!結界を抜けたぞ仁、良かったぁ これで結界は破れるのか? 仁」 急に黒い箱が俺の胸からぽとりと落ち、ボワ〜ンと煙と共に変身した 九尾狐の仁が姿を現した 俺の首にはまだ琥珀の髪が付いたままだ 「やりましたね、健太」 「ええっ!九尾狐!仁......なのか?」 「はい、長い間ありがとうございました やっと健太と話せます」 仁は九尾狐だが、琥珀より体が小さく真っ白な 毛並みで目は青く美しい狐だった 「姿を現していいのか? 母親や弟妹は何処か知ってるのか?」 「臭いで分かる、近くにいます」 「じゃあ早く阿闍梨の花の汁を飲ませに行こう」 「はい健太」 俺の体から抜けた仁は走った 俺はただの人間になり、着いて行くのが大変だ 息が苦しい程走り、必死に追いかけた 「仁!待ってくれ〜」 「あっすみません健太、気が焦ってしまった 私に乗ってください」 「乗れって小さいけどいいのか?」 「大きくなりますよ、健太これ位でいいですか?」 「ええっデカ!」 仁は、馬位の大きさになり 俺は背中に乗り、フサフサの長い毛を掴んだ もの凄い速さで風をきり仁は走った 又、洞穴が見えて来た 俺は仁から降りると、仁は普通の大きさに戻り 洞窟の中に入って行った 「ふぅ落ちるかと思ったよ仁、ここか?」 「はい健太、間違いないです 母上の臭いがする! 母上、お迎えに参りました」 「その声は仁、仁なの!」 「仁兄様、来てくれたんだぁ」 「兄様だ!仁兄様ぁ〜」 「母上、烈も凛も元気で良かった」 「ん!人間が居る!仁兄様気をつけろ! ウ"ウ"ウ"ウ"〜グルルル」 「烈、敵じゃない助けてくれたんだ 人間だけど、父上が頼んで一緒に来たんだよ」 「なんだって?父上が何故?人間だぞぉ!」 岩の牢屋に閉じ込められた母親が俺を威嚇している 鋭い目で牙をむき出し、背中の毛を立てて身構え恐ろしかった チビ達も小さいながらも、牙を向き鼻にシワを 寄せ威嚇している 「ヒッ!仁、お前の母さんデカイ牙怖っ! 仁なんでだ、助けに来て威嚇されてる!」
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