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洞窟内から出た時だった
遠くから声が聞こえた
「逃がしはせんぞぉ!」
「仁、急ぐのよ奴が来た!」
「仁、朱羅か!」
「母上、早く術を使い父上の所戻ってください」
「仁では戦えぬ!先に行きなさい」
「大丈夫です、父上の力を頂きました
早く行って母上!健太も一緒に!」
「なんと!琥珀王の力を?」
「母上ぇ怖いよぉ」
「分かったわ、琥珀王を呼ぶから
耐え抜くのですよ
人間も連れて行くから」
俺はその時恐ろしい姿を見た
白い顔に金色の体で九尾の狐、目は真っ赤
荒々しい息遣い、恐ろしい奴だった
「なんてデカい奴なんだ、まるで山みたいだ!」
「おやぁ?人間がここ迄来たのか?
わざわざ喰われにフフフ」
「ヒッ!」
俺の顔に熱い鼻息がかかる程すぐ目の前迄
近ずいて来た
あまりの恐ろしさに、 体が固まり動けなかった
「ヒッ喰われる!」
「ウッこれは琥珀の!」
何故か朱羅が飛び跳ね下がった
俺は琥珀の髪の毛1本で守られていたのだと
悟った
尽かさず仁が、朱羅に体当たりで阻止した
「健太!逃げろ!早く結界に投げろ!」
「わ、分かった」
俺は我にかえり思いっきり走った
焦り転がり、それでも必死に走った
結界に向かって力いっぱい阿闍梨の花を投げた
花が棘の結界に届いた瞬間
阿闍梨の花の汁が光り輝き撒き、棘の結界は
メラメラと燃え一瞬で結界が破られた
「仁やったぞ、結界が消えたぞぉ〜」
振り返ると仁は山のようにデカくなっていた
「早く母上と戻れ!」
「仁?お前が琥珀の息子か?
フフフままごとでもする気か?
この我に勝てると思っておるのか!たわけ者が
逃がさぬわ!」
二匹の九尾の狐の戦いは凄まじいものだった
稲妻が鳴り響き、火花が激突している
地鳴りがし、恐ろしい光景に立ちすくんで
しまった
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