九尾の狐

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風呂を上がろうとした時だ お袋が洗濯物を分けようと、俺の服からポトリと 黒い小さな箱が落ちた 「何これ?」 俺は慌てて風呂を飛び出し、素早く箱を取った 「母さん駄目だ!触るな!」 「健太どうしたのよ、その箱何?」 「えっと、彼女に貰ったんだ」 「彼女?ええ〜いつ出来たの?可愛い子? 今度、家に呼びなさいよ」 「その内なエヘヘ」 俺は嘘ばかりついている、真実を言えない どうすればいいんだろう 夕食を済ませ、俺は部屋に戻ると鍵を締めた 黒い箱を色々パソコンで調べてみた 何もそれらしい物は見当たらない 「この箱は何なんだ?木で出来ている様だが......」 キリで穴を開けようとしたが、傷もつかない ノコギリや思い付く物は全て試したが 何も変わらない 「一体、中に何が入ってるんだ!」 誰にも言えない秘密を抱え、一生こんな生活を しなくてはならないのか 捨てる事を考えたり、燃やす事も考えながら その夜はベッドに入り寝た それから数ヶ月、風呂に入る時も外に出る時も 肌身離さず持っていた 誰にも言えない秘密を抱えながら....... 午前2時過ぎそれはやって来た カタカタと音をたて箱が動き出した 俺は飛び起き電気をつけた 「なんだ!パジャマのポケットに入れてたのに なんで机の上にあるんだ あの箱が動いてる!えっ紅くなった!」 黒い箱が紅くなり、まるで血の様な雫がまるで 汗を吹き出す様にダラダラと流れ出した 机の上が雫で、真っ赤な血溜まりが出来ている 「ええっ!何だこれは!」 よく見ると、文字が書いてある 「九.....尾?なんだこれ?クオと読むのかな」 恐る恐る紅くなった箱を震えながら テイッシュを重ね拭き掴んだ その途端、気が遠くなりあの漆黒の闇の中に 引っ張られた 「うわぁぁぁぁ」
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