九尾の狐

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外に出てみると大勢の住民がそれぞれ狐面柄の 色とりどりの浴衣を着ていた 老若男女問わず、みんな楽しそうに大騒ぎして 坂道を登って行く 「この先に何があるんだ」 「九尾の狐神様に感謝するお祭りじゃないの 祠に供物をお供えするのよ」 「九尾の狐神様って何なんだ」 「一体どうしたの?仁」 「仁って......俺が?......」 聞けば白い大きな狐で9本の尾を持ち神様として 祀られるらしい 五穀豊穣、子孫繁栄、家内安全を祈願する 時に人間として姿を現すと言う 怒りに触れると、九尾の狐神様から恐ろしい 能力で世界を滅ぼすと伝えられていると 聞かされた 俺はにわかに 信じられ無かった 「もしかして、あの声の主は九尾の狐?.....」 「えっ声を聞いたの?」 「ま、まさか、祭りも知らないんだぞ」 俺は思わず誤魔化した そうだ、誰にも言えない秘密なのだ 誰かに言えば大切な人が死ぬと...... 「雫さん、祭りはいつ終わるんだ?」 「雫と呼んでよ、夫婦で さん なんてイヤよ仁 3日3晩に決まってるじゃない」 「ええ!ずっと続くのか!みんな寝ないのか?」 「そうよ、寝てもいいけどここで寝るのよ」 「ここで?祠ってただの大きな岩じゃないか」 「だから、九尾の狐神様は色々自然と共に 姿を変えるって言ったじゃないの」 「毎年恒例行事なのか?」 「3年に1回なのよ、その都度形を変えるわ 今年は岩だけど、3年後は何か分からないわ でも、いつもこの場所なの」 「何を根拠に信じるんだ」 「神様だから」 やはり、ついていけない事ばかりだ
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