九尾の狐

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琥珀は大きな溜め息をつき、俺に懇願して来た 「行けるものなら既に行ってる 結界が張られ、我々には近ずけぬ その花を持って行けるのは、選ばれし人間以外 行けないのだ」 結界は例え神でも近寄ると阿闍梨の花は枯れ 自然が破壊され、人間世界の生き物全てが 消え去ると言う 結界の向こう側に、琥珀の妻と子供達が閉じ込められていると聞かされた 「阿闍梨(アジャリ) の汁を飲めば 妖怪の呪いを解く事が出来るのだ 呪いを解ければ、妻達は術を使え此処に戻れる」 「結界は一体誰が張ったんだ?」 「白面金毛九尾(はくめんきんもうきゅうび) 我が兄、修羅だ 人間の肉を喰らい、死んでも生き物に憑依する 死ぬ事の無い恐ろしい妖怪になってしまった」 「修羅?兄!?」 「我らは双子として生まれた どちらかが、陽もしくは陰となるのだ 生まれた時にそれは決まる 我らの掟なのだ ある日突然、修羅が狂い出した 大王は俺だと言い出し、仲間迄喰らい出したのだ 手が付けられず我が兄を、山奥に追い出したが それを根に持ち、陰の九尾の狐となったのだ 我らを敵として結界を張ったのだ 妻達を囚え、王座を譲れと言うのだ さすれば帰してやると.....だが無理な事だ この世界は、人間を守る使命がある このままでは、妻達は喰い殺されるだろう この箱がお前を選んだのだ 人間よ、頼む妻達を助けてくれぬか」 「兄弟って! 白面金毛九尾って、お前も死なないのか! そんな妖怪の場所に行けと言うのか! 断る!俺が喰われる!」 「結界を破れば、我は兄を殺生石に変える 死にはせぬが目覚めぬだろう 只、その石は毒を撒き散らし続けるだろうが...... 我に考えがあるのだ 阿闍梨の花は、人間が持つと枯れず結界を通れるのだ」 「どっちも死なず最強って、同じ力があり 不死身なのか? 琥珀も人間喰らうのか?」 「我は聖なる大王九尾だ そんな物は喰らう訳が無い!」 「良かったぁ この花を持って行けばどうなるんだ?」 「結界が消えれば、兄と戦いが始まるだろう 人間世界に変化が少しあるが、我はこの命を掛け 兄を殺生石に変える! 逃すと人間に憑依し身を隠し、人間世界は地獄と化すだろう...... 我らは自然と共に行き、人間達を守っている 我は九狐の大王 だ 此処は聖なる狐達の神の世界なのだ 人間世界では 、神社に祀られているであろう? あの者達は我が分身なのだ」 「ええ〜神社の狐って 、お稲荷さんの狐なのか 俺は今、狐の神様と話してるのか!」 「そうだ、長い時を費やし 黒い箱はお前を探していたのだ お前は約束を破る事も無く、唯一信じられる 人間なのだ 選ばれし人間よ、西条健太と申したな 探してくれた暁には礼をする 金でも思いどうりの物を与えよう」 「礼なんかいらない! 無事に家に帰してくれたらそれでいい」 「フフ欲の無い奴よのぅ」 「九尾って尾が9本あるのか?」 「そうだ、1〜9つまり終わりと始まりが同時に起きるのだ 斬られても傷は直ぐに治る それ故に死なないのだ」 「へぇ〜スゲェな、そうなんだ...... 勝負つかないじゃないか! どうするんだ、俺にできるの事なのか? 何処なんだ、結界のある場所は」
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