九尾の狐

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九尾の狐

毎日同じ時間に仕事に行き、ひたすら働いても 小さな失敗で上司に罵倒され、むしゃくしゃした その会社から帰り道に、居酒屋でヤケ酒を呑んで いささか呑みすぎた様だ 俺は西条健太27歳、普通の会社員、彼女無し 未だに母親と祖母の3人暮らしだ 父親は俺が中学生の時癌で死んだ ヤケ酒で憂さ晴らしするしかない 夢も無く、やりたい事すら無い つまらないクソみたいな人生だ 最終電車に何とか乗るも、酔いがまわり いつの間にか寝てしまった 「お客さん終点ですよ起きて下さい」 「ハァ?はいは〜ぃわっかりました〜」 俺はフラつきながら電車を降りた 降りて直ぐにベンチで又寝転び寝てしまった 夏だと言うのに何故か寒気がし、目を覚ました 「あれ!ここは何処だ?」 気づくと野原で寝ていた 辺りに駅も無く民家さへ無い 仕方なく月明かりを頼りに 道らしい場所に出た 「タクシー呼ぶしかないか」 携帯を見ると県外だった 「チッ!ついてない」 月明かりに照らされ、腕時計を見ると午前2時42分 煙草を吸いながら、まだ酔いが覚めていないのかフラつきながら歩いた 暫くすると遠くに明かりが見える 「誰かいるんだ、良かった〜 こんな時間だが 電話を借りてタクシーを呼ぼう」 早足でその明かりを目指し歩いた 古い民家にたどり着いた 「すみませ〜ん、誰か居ませんかぁ〜」 戸を何度も叩くが返事が無い 明かりがついているのに 住民は寝てるのだろうか 雨戸も閉まっている 「こんな時間だしな.....朝迄待つか」 仕方なく民家の軒で座り込んだ
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