さよならをレターに告げて

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仲丸はツーブロックの黒髪をいつも風になびかせていて鼻筋はまっすぐで誰からも好かれそうな顔で、その上誰からも好かれそうな性格で私の憧れであり、初恋の人でもあった。 なのに……。 その恋は突如として打ち切られた。仲丸は葵という少女にとられてしまった。まるで誰かにでも裏切られたみたいだ。 私はどうして、仲丸を好きになってしまったんだろう。 その後悔の言葉が脳裏によぎった途端、私の瞳からは雫が溢れ出す。 嘘だ。嘘だ。 こんな現実、信じたくない。信じたくないよ……。 どうか夢であってほしい。その悲しみが、後悔が。地味で陰キャの私が初めて好きになれた、初恋の人だったのに……。 そう思いながら、自分の頬を指で強くつまんでみるけど、変わりはしない。これは紛れもない現実のことだ。 私はそう理解した途端、道端で泣き崩れた。子供のようにやけくそに泣いた。こんなに泣いたのはいつぶりだっただろうか。 私はその日、家に帰ってすぐに泣き崩れて疲れたように眠りについた。
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