さよならをレターに告げて

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私は棒読みに挨拶をした。 端から聞いてみれば、素っ気なく聞こえるかもしれない。それで怒りが目覚める人がいるかもしれない。でもそんなの今はどうでもよかった。今は誰とも話したくなんかない。目すら合わせたくない。 でもお腹が空いているのは変わらないので、喉を通らない朝食を無理やり喉に呑み込ませる。 「大丈夫?なんだかいつもと違う気がするわよ」 母は心配するような顔で私の顔を除き込みながらそう言った。 確かに昨日のことがあって学校に行くのには気が重い。でも母を心配させたくなかった私は「大丈夫」吐き捨てるように言って身支度をし、家を出るだけだった。 背中に抱えきれないほどの重たいものを背負った時のように私の体は思うように動かない。 なぜ昨日の後悔や辛さがこれほどまでに体調に影響を及ぼしてしまうのか自分でもわからなくなるほどだ。 そんな体を必死に動かして私はやっとのことで教室に足を踏み入れた。 その途端、視界に入ってしまうのは仲丸の顔。 昨日のことがあったせいか、どんな顔をして仲丸と話せばいいのかわからなくなる。 とはいえ、ここでずっと立ちすくむわけにもいかないので私はまるで何かに縛られたように動けない足を無理やり動かして自分の席についた。 「おはよう、彩沙希」 仲丸はいつもと変わらず穏やかな口調で挨拶をしてくる。 こういう時は私もいつもと変わらず、おはようと挨拶を返すべきなのだけれど、思うように口は動かないし、どう返せばよいのかも今はわからない。
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